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ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 作品73「皇帝」

Concerto for Piano and Orchestra No.5 in E-flat major, Op.73 "Emperor"

Ludwig van Beethoven  L.V.ベートーベン

ベートーヴェンの最後のピアノ協奏曲。1811年11月28日のライプツィヒのゲヴァントハウスで、初演。翌1812年には、ウィーンでも演奏されたが不評で、以後ベートーヴェンの生存中には演奏されなかった。

後に、『皇帝』の名で呼ばれるようになるが、本当にその名にふさわしい堂々とした傑作。ピアノ協奏曲の皇帝として君臨している(と思う)。

ナポレオン率いるフランス軍が、オーストリアに侵入し、ウィーンを占領した。貴族たちがウィーンを逃れる中、ベートーヴェンは逃げなかった。戦渦が続く中、弟の家の地下室などで生活しながら、この曲は仕上げられた。

バロック時代以来、協奏曲は、独奏者の華麗なテクニックを堪能するという側面もあった。古典派の時代になっても、カデンツァという独奏者(この曲の場合はピアニスト)が、ある程度自由に演奏する時間が曲中に設けられていた。この部分の音楽は、演奏者が勝手に作ってもよかった。もちろん、以前に演奏された他の人のカデンツァを利用することもあった。

ベートーヴェンは、この曲で独奏者の勝手なカデンツァを許さなかった。カデンツァ(正しくはカデンツァとは呼べないかも)もベートーヴェン自身が書いた。第1楽章冒頭は、主和音の後、このカデンツァが奏される。楽章の終わり近くは、カデンツァに最適の場所、そこで独奏者たちは、自分の得意なテクニックを聴衆に披露する。だが、楽譜のその部分にはカデンツァを禁止する指示が、書き込んである。

ベートーヴェンは、何でもかんでも管理下に置きたい暴君だったのか。耳が悪くなった彼は、独奏者が勝手なカデンツァを弾いても、よく聞こえなかったのではないだろうか。自分が作曲したものならば、耳が聞こえなくても、頭の中で聞こえたのだろう。

第2楽章・第3楽章は、続けて演奏される。この部分の調の変化とリズムが変化する部分は、おもしろい。また、全体では、ピアノを組み込んだ交響曲のような作品に仕上がっている。

一度は聴いておかないと。せっかく人間として生まれてきたのだから。


リチャード・ドレイファス主演の「コンペティション」という映画を以前に観た。主人公の男性は、ピアノのコンクールに参加するのだが、その数日間の出来事を描いたものだ。主人公はこのコンクールで、この「皇帝」を演奏している。

主人公は、同じくコンクールに参加している女性を好きになり、恋人の関係になる。女性が優勝し、主人公は2位となる。自分が劣っていることを気にする主人公と女性の関係は・・・。

設定はどちらもアメリカ人にしてある。洋の東西を問わず、「男の沽券(こけん)にかかわる」というのは、あるんですね。

沽券をはきちがえて、幸せを逃し続ける者がここにいる。

映画では、ロ長調の第2楽章、聴衆の中の貴婦人が涙していた。

我もまた 時に涙す ロ長調
たつく
(準器語:ロ長調)

© May 25th, 2003  たつく

聴いた録音のデータ
ピアノ マウリツィオ・ポリーニ Maurizio Pollini
オーケストラ ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 Vienna Philharmonic Orchestra
指揮 カール・ベーム Karl Böhm
時期と場所 1978年5月 ウィーン

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