"Verklaerte Nacht" Schoenberg | < | ∧ | 魔笛を観に行こう・トップ | ∧ | > | "Symphony No.2" Sibelius |
ベートーヴェンの最後のピアノ協奏曲。1811年11月28日のライプツィヒのゲヴァントハウスで、初演。翌1812年には、ウィーンでも演奏されたが不評で、以後ベートーヴェンの生存中には演奏されなかった。
後に、『皇帝』の名で呼ばれるようになるが、本当にその名にふさわしい堂々とした傑作。ピアノ協奏曲の皇帝として君臨している(と思う)。
ナポレオン率いるフランス軍が、オーストリアに侵入し、ウィーンを占領した。貴族たちがウィーンを逃れる中、ベートーヴェンは逃げなかった。戦渦が続く中、弟の家の地下室などで生活しながら、この曲は仕上げられた。
バロック時代以来、協奏曲は、独奏者の華麗なテクニックを堪能するという側面もあった。古典派の時代になっても、カデンツァという独奏者(この曲の場合はピアニスト)が、ある程度自由に演奏する時間が曲中に設けられていた。この部分の音楽は、演奏者が勝手に作ってもよかった。もちろん、以前に演奏された他の人のカデンツァを利用することもあった。
ベートーヴェンは、この曲で独奏者の勝手なカデンツァを許さなかった。カデンツァ(正しくはカデンツァとは呼べないかも)もベートーヴェン自身が書いた。第1楽章冒頭は、主和音の後、このカデンツァが奏される。楽章の終わり近くは、カデンツァに最適の場所、そこで独奏者たちは、自分の得意なテクニックを聴衆に披露する。だが、楽譜のその部分にはカデンツァを禁止する指示が、書き込んである。
ベートーヴェンは、何でもかんでも管理下に置きたい暴君だったのか。耳が悪くなった彼は、独奏者が勝手なカデンツァを弾いても、よく聞こえなかったのではないだろうか。自分が作曲したものならば、耳が聞こえなくても、頭の中で聞こえたのだろう。
第2楽章・第3楽章は、続けて演奏される。この部分の調の変化とリズムが変化する部分は、おもしろい。また、全体では、ピアノを組み込んだ交響曲のような作品に仕上がっている。
一度は聴いておかないと。せっかく人間として生まれてきたのだから。
リチャード・ドレイファス主演の「コンペティション」という映画を以前に観た。主人公の男性は、ピアノのコンクールに参加するのだが、その数日間の出来事を描いたものだ。主人公はこのコンクールで、この「皇帝」を演奏している。
主人公は、同じくコンクールに参加している女性を好きになり、恋人の関係になる。女性が優勝し、主人公は2位となる。自分が劣っていることを気にする主人公と女性の関係は・・・。
設定はどちらもアメリカ人にしてある。洋の東西を問わず、「男の沽券(こけん)にかかわる」というのは、あるんですね。
沽券をはきちがえて、幸せを逃し続ける者がここにいる。
映画では、ロ長調の第2楽章、聴衆の中の貴婦人が涙していた。
我もまた 時に涙す ロ長調 |
たつく |
(準器語:ロ長調) |
© May 25th, 2003 たつく
聴いた録音のデータ | ||
ピアノ | マウリツィオ・ポリーニ | Maurizio Pollini |
オーケストラ | ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 | Vienna Philharmonic Orchestra |
指揮 | カール・ベーム | Karl Böhm |
時期と場所 | 1978年5月 | ウィーン |
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