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1904年10月18日、ケルンのギュルツニッヒ会堂で、マーラー自身の指揮のもと、初演が行われた。今や、オーケストラ公演の定番になっている。『マラ5(ご)』とも称される。
マーラーは、ベートーヴェンを尊敬していた。ベートーヴェンの5番は、あの『運命』。「ジャジャジャジャーン」の運命動機(モチーフ)を意識したような、トランペットの動機で始まる。深刻で暗い葬送行進曲が流れ出す。ベートーヴェンお得意の「静から動」「苦から楽」「抑圧から解放」にならった交響曲の手本のような作品。ただし、20世紀の作品らしく、単純なものではない。
マーラーは、この時期約20歳年下のアルマと新婚生活を送っていた。このときマラーは40代半ば。
クラシックを聴き始められた方も、いずれは聴き込んで欲しい。優雅な音楽や楽しい音楽に飽きてきたら、ぜひ。とっつきにくいようですが、何度も聴くうちに体を侵してきます。2回や3回では無理かも。私は一時期、1日に3回も4回も聴いていた。
大学生のとき、ガソリンスタンドでアルバイトをしていた。そのときの所長が、市民楽団でチェロを演奏していた。忙しくてさぼり気味だったが。
その所長がくれたのが、第4楽章のアダージェットの入ったカセットテープ。ゆっくりと深海に沈んでいくような曲想。この良さがわからなかったなー、あのころは。
最近では、テレビドラマ「白い影」の中で、アダージェットが使われた。中居君が、冷たい湖の底に沈んでいく情景とともに流れた。このドラマ、他にもいい曲ばかり流していた。
「ベニスに死す」という有名な映画にも使われている。ルキノ・ヴィスコンティという監督の作品で、老いゆくものの美しさを映像にしている。「滅び逝くものの美」というのは、太宰治の「斜陽」が思い浮かぶ。
対照的に、第3楽章スケルツォの冒頭のブラスの響きは、牧歌的で気に入っている。楽章全体は複雑なのだが。
曲全体から受ける印象は、素直だったり、すねてみたり、落ち込んだり、やる気になったり。まるで1人の人間を長期に観察しているみたい。やっぱり最後は、ハッピー・エンドじゃなくちゃ。
朝霧に 溶け込むように アダージェット |
たつく |
(準器語:アダージェット) |
© May 15th, 2003 たつく
聴いた録音のデータ | ||
オーケストラ | フィルハーモニア管弦楽団 | Philharmonia Orchestra |
指揮 | ジュゼッペ・シノーポリ | Giuseppe Sinopoli |
時期と場所 | 1985年1月 | ロンドン |
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